古代ローマの戦い

連休中あちこち出かけてしまったので、真面目に仕事モードに戻らねばならない。明後日23日も休みと考えるとやる気も半減。だけど働かなくちゃ。・・・・・・と言いつつ仕事とは無関係の本を読んでしまう。
エイドリアン・ゴールズワーシー(遠藤利国訳)「図説 古代ローマの戦い」(東洋書林・2003年)
図説 古代ローマの戦い
ローマの歴史は戦争の歴史。本書を読むと「戦争」が政治・経済・市民生活等々の様々なシステムに影響を及ぼしていたことがよくわかる。扱っている時代が建国期から東ローマまでと長く、その中での兵制と社会体制の変化を追うわけだから、記述内容は抽象的かつ概説的なものにとどまっているのだが、レリーフなどの写真、編成や兵装に関する復元図、主要な戦闘での配置・戦況図がそれを補っている。もっとも、戦史としてだけ読む場合には物足りないかもしれん。GMT社のGBoHシリーズ*1なんぞと照らし合わせながら読むと面白いのだが、そこまでの時間はとれていない。
特に興味深かったのは、第二次カルタゴ戦争後のユグルタ戦争やキンブリ=テウトニ戦争の辺りの危機的状況とそこからの回復の過程で、軍隊の私兵化と同盟軍の変質が起きるくだり。これが閥族派と平民派の対立や三頭政治からカエサルの出現につながるんだよね。歴史上著名な個人の働きによって歴史が動くんではなくて、人の意志を離れて有機的なシステム自体が変容してゆくって感じなんだよね。

*1:古代ギリシア及びローマ時代を題材にしたシミュレーション・ゲームのシリーズ。電子的なものではなく、上のマップの上で厚紙のユニット(駒)を並べてサイコロなんぞを振って進めてゆく、ノンビリしたゲームである。GMT社はアメリカのシミュレーション・ゲーム専門の会社。