帽子収集狂事件

帽子収集狂事件 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(7) (乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10) (集英社文庫)
ジョン・ディクスン・カーの「帽子収集狂事件」を読むのはこれで確か3度目です。今回は1999年に集英社文庫で出た「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10」という新訳のシリーズ*1のものが積んだままになっていたので、読み始めてみたわけです。不朽の名作、か・・・・・・
私はどうもこの「帽子収集狂事件」が苦手で、好きになれません。霧のロンドン塔という舞台設定やエドガー・アラン・ポーの未発表原稿という道具立ては良いのですが、事件自体は騒ぎ立てるほど不可能かな、と思うんですね。不可能状況が作られるのも偶然の要素が大部分だし、状況の作られ方にも問題があるように思えます。最も納得がいかないのは犯人の処遇なのですが。
今回読んでみて、こうした点に関する考えを改めることができますかどうか。
ちなみにこの原題「The Mad Hatter Mystery」は、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」のティーパーティーのところに出てくる帽子屋からとられているわけですが、「帽子収集狂」って訳はどんなもんなんでしょう。訳すの難しいですね。といって某掲示板の某コテみたいに「マッド・ハッター」などと言うのは無粋ですし*2

*1:クイーンの「Yの悲劇」やヴァン・ダインの「僧正殺人事件」、ベントリーの「トレント最後の事件」辺りはこのシリーズで初めて読んだのですが、いずれもニンともカンともな出来の作品だなとしか感じられなかったという、私にとっては鬼門のシリーズなのかもしれません。

*2:ちなみにこの某コテが「帽子収集狂事件」を高く評価しているらしい(彼が本当に読んだのかどうかさえ怪しいものですが)ので、この作品の印象が私の中で悪化してしまっている感じがします。やれやれ。