様式化された死

シャルパンティエ:死者のための

シャルパンティエ:死者のための

  • アーティスト: ドゥジュラン(ベルナデット),フェアキンデレン(アンヌ),ジェイムズ(デイビッド),カールス(ヤン),シャルパンティエ,デヴォー(ルイ)
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1994/10/10
  • メディア: CD
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ミシェル・コルボ/リスボングルベンキアン管弦楽団及び合唱団
マルカントワーヌ・シャルパンティエ 死者のためのミサ曲
ERATO R20E-1002(国内盤CD・1972年録音)


シャルパンティエのこの曲って他の演奏をあまり見かけないんですが、まさか偽作だと判ったなんてことはないですよね。昔から好きな曲なので一寸気になります。まあ、曲自体そんなに魅力的ってわけじゃないかもしれんので、CDが少ないのも仕方ないですかね。
実際にどうだったかは知りませんが、宮廷内の礼拝堂なんかで演奏されるのにはピッタリな雰囲気で、温度の低い、でも心に沁みてくる曲です。派手派手な部分は皆無なのですが、モダン楽器での演奏で、その分キラキラした輝きのようなものがあります。ピリオド楽器の演奏も聴いてみたいですね。きっともう少しくすんだ素朴な響きがして、それはそれでまた良いでしょうから。
構成もおもしろくて、入祭唱なしにキリエから始まって、オッフェルトリウムの代りにモテットが入ります。解説文によると、「17世紀フランスの典礼に特有のこと」*1なのだそうです。世の中知らないことだらけです。


死の儀式化・様式化というのは人間が悲しみを受け入れて立ち直れるようにするための知恵みたいなものなんでしょうね。でも日本の葬儀屋のように変な声色で司会されるのは嫌だなあ。


死者のためのミサといえば、学生の頃アンドリュー・ロイド・ウェッバーの「レクイエム」が出たのを何故か興味をもって買ってきて、一時期サルのように聴いていたことがありました。確か指揮はロリン・マゼールでしたか。この中の「ピエ・イエズ」は後にシャルロット・チャーチあたりが歌って、今でも耳にすることがありますが、私のお気に入りはラテンのリズムの「ホザンナ」でした。何故かふと思い出しました。あのCDどこへやったものか・・・

*1:CDに付属のリーフレットより、ハリー・アルブレッシュ執筆、佐藤章訳。