ヴァンゼー会議

歴史上の出来事に関する映画と言えば、ヴァンゼー会議を描いたテレビ映画がDVDになっていて、何ヶ月か前に観たのを思い出しました。題名を忘れてしまったので検索してみたら邦題は「謀議」というようです。
1942年1月にヴァンゼー湖畔の館で開催されたこの会議で、ユダヤ人の最終的処理に関する決定がなされたと言われているわけです(出席者のメモが残っている)が、この映画はその様子を、出席者が集まってから解散するまで淡々と描いていきます。
謀議 [DVD]
さて、この映画ではケネス・ブラナーがラインハルト・ハイドリヒの役をやっています。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で役立たずのロックハート先生の役をやっていた人ですね。・・・・・・外見は全く似ていません。全く似ていないので「戦争の嵐」を書いてて思い出しました。実は独特のユーモア感覚を持った人物だったと言われている点は似ているのかもしれませんが。
さてこのテレビ映画、何がアレかと言えば、SSがどうのというよりも経済・法律関係の官僚が(一部は人間的良心を垣間見せながらも)ある政策とそれを実現するための技術的手段を冷徹に話し合って決めていき、それが何十万・何百万という人間の運命を左右するという、リアリティーのない恐ろしさがあるんですね。雪景色の中の綺麗な屋敷とロココ調の調度類とお茶とお菓子とタバコ。処理を行うことの是非は経済的(功利主義的)・法的(法実証主義的)な観点からは問題になるものの、人権・人道といった議論は一切なされません。
こうして人が無意味に死んでいく地獄が生み出されるわけです。