考古学

9月にTBS系でポンペイに関する番組をやっていましたが*1、今度はテレ朝で25日から28日まで23時台に30分ずつ4回、イタリア、ヴェスビオ(ベスビオ)山の麓にあるソンマ・ヴェスビアーナの遺跡の発掘についてドキュメンタリーをやってました。内藤剛志さんが案内役、近藤サトさんがナレーション、キャノンの一社提供。なかなか落ち着いた番組で良かったです*2
果樹園(オリーブ畑?)の真ん中のそれほど広くない発掘現場が掘り進められ、様々な物が見つかってゆく様子が比較的淡々と描かれていて。更にそれらを地中海世界の他の遺跡や遺物と比較してみせることで年代や意味を推定してゆく過程も入って、広がりと深みがありましたし。そして、全てがうまくいくわけではないし、まだ途中経過だというところもこの番組のキモなんじゃないかと。AD79年の大噴火で埋もれたという仮説が地質・地層の比較であっけなく崩れてしまったり。アウグストゥスの館又は墓所等であるという仮説も立証されるには至ってなかったり。未完の推理小説ですね。その物語の中で、発掘責任者の東大の先生は非常に面白い人だったし、助手のおいちゃんも楽しそうだったし、バイトの大学院生の方々も作業員のイタリア人のおっちゃん達もイイ顔してたし、何かを見つけよう知ろうという人間的な営為を全肯定できる素晴らしい番組なんですよね。楽しいことばかりじゃない、地元の人との微妙な関係もある。でもプロジェクトX的なお涙頂戴に陥ってない点も評価高いです。
あと、内藤さんの書斎(という設定)の机の上にはF0.95(かな)のレンズをつけたキャノンの古いレンジファインダー機が載ってたり(笑)、心憎い演出も。あの大きくて明るいレンズって、フクロウの眼みたいな感じで、人間の好奇心・探究心の象徴ではないのかと勝手に考えています。
ただ題に「皇帝最後の館」云々って入れてしまうのは誇大広告っぽくて駄目ダメ。あくまで仮説であって立証はされてないんだから、東スポみたいに「?」入れるか別の煽情的な題をつけなきゃ。
内容もアウグストゥス云々に偏りすぎ。4世紀辺りに変化があったということになるならゴート族の侵入とか当時の歴史背景をもう少し紹介すべきではないかと思います。
何れにしても20時台・21時台に90分位の番組として流すのに十分な中身だったと思うのですが、何故か23時台。比較的地味だし結論がはっきりしてないしでキャノンさんと電通さんがそこまで思い切れなかったのか、何年後かに更に発掘が進んでより素晴らしい成果が出たときに備えた前フリ番組という位置付けだったのか、事情はいろいろあるんでしょうが、少々残念です。発掘継続のスポンサー費用捻出のための番組ではあるんでしょうけど、だったらなおのこと20時台にやってほしかったですね。
もしかして23時台だったのはうちの地方だけで、他ではもっと良い時間帯にやってたとか?


注釈

*1:id:makinohashira:20040921#p2

*2:第2回で変な女優さんが女神像に似せた扮装をする部分を除く