人間的営為である戦争における非人間性について

NHK衛星で昨日再放送していたスターリングラード攻防戦のドキュメンタリーですが、第2部の途中からビデオにとって、観ることができました。ヒトラーの戦略・作戦方針とそれへの陸軍参謀本部の関与の仕方については今日でも議論が分かれるところでしょうが、そうしたことを論じる力は私にはありません。非常に情緒的な感想ではあるのですが、人の命が何の価値を持たない地獄がこの世に存在したことについて、私は恐怖と絶望を感じざるをえませんでした。少なくとも安易に戦争という事象を肯定することは私にはできません。
飛行場での混乱(これは映画「スターリングラード」=1993年ドイツ製作*1でも描かれています)、人肉食、捕虜の扱い等々、実際の生還者達の証言はどれも心に沁み込むものでしたが、私が落涙してしまったのはヘルマン・ホート将軍の救出作戦の部隊に属していた元兵士の方が、クリスマス直前に救出作戦の失敗を悟ったあたりの回想で、「我々は(スターリングラードに包囲された)戦友達を見捨てなければなりませんでした。・・・私はあれ以来クリスマスを祝う気持ちにはなれません。祝えないのです。」と語る箇所です。


注釈

*1:この映画についてはid:makinohashira:20041009#p1で少しだけ触れています。