双眼鏡購入記4

ムクドリ

実際に機種を選定しようの巻
それにしてもいろんなメーカーのいろんなグレードの品物があります。ぶったまげるのはガラス製品や宝飾品で有名なスワロフスキーのEL8.5x42WBってやつで、定価22万、実売でも19万くらいします*1。きゅ〜〜〜。あと高いのはライカとかツァイスとか、日本製でもニコンのHGLシリーズなんてのがあるようです。でもですね、そもそも目の性能が悪くてしかも普通のレンズが入った眼鏡をかけている私が使うわけです。神の目のような双眼鏡があっても猫に小判・豚に真珠・昼ドラに小沢真珠です。私に違いが判るものでしょうか。しかも実際に外で鳥を見比べて試す*2わけではなくて、お店の店頭で見るだけですから、「真価」を見ることができるとは到底思えません。でも仕方ないですね。とにかく高いのから安いのまで、8x40〜42のダハ型をいろいろ見てみて選ぶことにしましょう。
イカトリノビット*3は頑丈そうだし、のぞいて見た像も押し付けがましくないスッキリした感じで大いに購買意欲をそそられました。でもやっぱ少々お高め。より新しくてより高価なウルトラビットというシリーズがあって、より軽くて持ちやすかったです。見え方は同じような感じでした。ツァイスで評判が良さそうなのは防水ではありませんがクラシック7x42というものですが・・・わざわざガラスケースから出してもらったのに壊れてやがるっ。野ざらしの展示品ならともかく、ショーケースに入った展示品が壊れてるとは・・・ツァイスさんとはご縁がなかったということで*4。スワロフスキーは華奢な感じです。対象物が周囲から浮き上がってかつ自然に見える究極の双眼鏡という評判で、確かにそれも嘘ではないなと思わせる見え方ではありましたが、いかんせん前述のとおり激しく高すぎますのでパス。
国産ではニコン(HGL)とペンタックス(DCF SP)は視野の周辺までピッチリと良く見えて変な癖もありません。よく見えすぎて微妙に窮屈さといったものすら感じます。ライカを透明感があって押し付けがましくないと書きましたが、それとの対比で言えば(特にニコンは)押し付けがましいほど整った見え方です。ライカやスワロフスキーよりも見かけ視界が狭いことも関係するのでしょう。次にそれぞれのメーカーのより廉価なシリーズ(モナークとDCF HRII)は、初めにHGLやDCF SPを見てしまうと少々落ちるのが見えてしまいます。他のメーカーだと、ビクセンのアペックスプロは十分に見えるんですが、対象物の輪郭が極々僅かにぼやけるような感じがします。もっとも、いろんな双眼鏡を試して目が疲れたせいかもしれません。コーワのものは8x32は明るくよく見える感じだったんですが、8x42の方はくすんでいるようであまり魅力的な見え方ではありませんでした。
まとめてみましょう。定価4〜5万円台のものでも十二分に実用的ですが、定価10万円前後のものと比べてしまうと、私の腐った眼鏡を通した腐った目でも粗が見えてきてしまいます。定価10万円前後から20万円前後の高級機はどれも*5素晴らしく、メーカー毎の違いをどう評価するかは好悪のレベルだと思いました。見え方以外の面で「○○○○は握り心地からピントリングのトルクから何から何まで国産では味わえない愉しみを与えてくれる。質感が違う。」ってな物神崇拝的な考え方には(使い勝手や耐久性や性能に影響を与える違いがない限りは)私は与しません*6。また「舶来モノは30年保証で一生使える」とかって言説にも欺瞞が潜んでいるんですね。ということで、私には、透明感のあるライカ、押し付けがましいほど整ったニコン、中庸を得たペンタックスのそれぞれが大変魅力的に感じました。最終的にこれらで迷って、値段の安いペンタックスを買うことにしました。結局は値段かよ、貧乏人・・・
(続く)


注釈

*1:これだけはカメラ屋さんには置いてなくて、別のお店でなければ見ることができませんでした。ブランド戦略なのでしょう。

*2:探鳥会とかに出かけて他の人の双眼鏡を覗かせてもらったりすれば可能でしょう。あるいはショップやメーカー主催の野外お試し会みたいな催しもあるようです。

*3:Trinovid:ドイツ語らしく発音すると「トリノフィート」か。昔々のライカの双眼鏡はプリズム三枚貼合せだったことから「tri」らしいです。

*4:ツァイスは周辺像はともかく中心部はシャープで独特のコントラストだそうです。ポロプリズム型のコントラストとどのように違うのでしょう。非常に興味がありました。でも、私の試したクラシック7x42は左右のピントがずれてて視度調整ノブをいじっても合わない不良品(こんなのあり?店に置いとくなよ!)。これではよくわかりません。他に新し目ですが最新ではない、FLが付かないビクトリーというシリーズの8x40を見せてもらいましたが、良さは感じませんでした。ちなみに別の機会に別のお店でクラシックの8x30B/TPとかいうのを試させてもらいましたが、こっちはフォーカシングノブが回りません。ということでツァイスの真価とやらに触れる前に候補から脱落なのでした。最近どこかの掲示板でツァイスの見え味をフジクローム・ベルビアという銀塩写真フィルムに喩えているのを見かけましたが、もしそうだとしたら、私はベルビアの嘘っぽい着色は嫌いなので、ツァイスの双眼鏡も私には向かないことでしょう。何れにしろ私はツァイスにはご縁がなかったということです。

*5:前述のとおりツァイスについては真っ当に試せませんでしたので知りません。

*6:つーか、壊れたツァイスを2台も見せられればこんな考え方は馬鹿馬鹿しいと思うのが普通なわけで。