ヨッフムのモーツァルト

 

モーツァルト:レクィエム

モーツァルト:レクィエム

 仕事を休んでいる間はCDを聴きながらひたすら寝ていました。上のCD(画像が出ない!)は1955年録音のオイゲン・ヨッフム指揮ウィーン交響楽団他によるモーツァルト作曲レクイエムニ短調k.626です。演奏も引き締まってなかなか良いCDなのですが、この録音の特徴は、ウィーンのシュテファン大聖堂のペナル司祭の司式によるミサ典礼に従って進められていることです。12月5日のモーツァルトの命日のための特別なミサです。具体的には次のようになります。Mがモーツァルトのレクイエムの部分です。

  1. 鐘とオルガン前奏
  2. 入祭文(レクイエム・エテルナム) M
  3. キリエ M
  4. 集祷文と書簡(ヨハネ黙示録14章13)
  5. ゼクエンツィア(怒りの日〜涙の日) M
  6. 福音書ヨハネ福音書6章51-55)
  7. オッフェルトリウム M
  8. 序誦
  9. サンクトゥス M
  10. 聖体奉挙
  11. ベネディクトゥス M
  12. 主祷文
  13. アニュス・デイ M
  14. 聖体拝領 M
  15. ルクス・エテルナ M
  16. 聖体拝領後の祈り
  17. オルガン後奏

え〜とですね、こうして聴くと、厳かな雰囲気ではあるものの音楽的には非常に収まりが悪いです。「キリエ」の緊迫したムードを引き継いで「怒りの日」に突入!とはならずに途切れてしまったり。「涙の日(ラクリモーザ)」の後の福音書はいいのですが。ヴェルディのレクイエムほどの違和感はないものの、モーツァルトのレクイエムも典礼を前提とした曲とは言えないような気がします。
 なお、第二バチカン公会議(1962〜65)でレクイエムの式文も改訂されていて、ゼクエンツィアなどはばっさりと削られていますので、現在ではこうした典礼は行なわれえないでしょう。そういう意味でも歴史的演奏かもしれません。


 この録音は20年ほど前にCDで発売された時に買いそびれて、再発を待っていたものです。去年海外盤で再発されたのですが、そこではミサ典礼の部分が削られていました。今回国内盤の「モーツァルト歴史的名盤1200」という安価なシリーズで出たこのCDは完全復刻(笑)だったので飛びつきました。聴けてよかったとは思いますが、20年の間に期待というか妄想が膨らみすぎていました。上に書いた収まりの悪さというか違和感はそのせいだと思います。


 もう一週間も前ですが、このCDを買いにCD屋さんに行ったら、映画「アマデウス」のDVDをながしていて、丁度モーツァルトの死と埋葬の場面だったので見入ってしまいました。「ラクリモーザ」が流れる中、モーツァルトの棺を載せた馬車が郊外を寂しく進んで行く雨の情景は、何度観てもグッとくるものがありますね。最後に共同墓所の大きな穴にドサっと落とされて、石灰をかけられて終わり。。。そういえばモーツァルトの頭蓋骨とされる骨のDNA鑑定の結果って、どうだったんでしたっけ?