SS-GB

 20年ほど前に出て、買わないでいるうちに消えてしまったレン・デイトンの「SS-GB」(ハヤカワ文庫上・下)。古本屋さんなどに入る機会があるとずっと探していたんですが、先日ブック・オフの105円コーナーで文庫の上下揃いがアッサリ見つかりました。
 「SS-GB」の「SS」は「Schutzstaffel=親衛隊」で「GB」は「Grossbritannien/GreatBritain」ということで、第二次世界大戦時、ドイツに占領されてしまった英国という架空の歴史環境の中でのサスペンスです。


 1941年2月、英国はドイツに屈した。国王はロンドン塔に幽閉され、チャーチルはドイツでの秘密裁判の結果銃殺になったという。そしてドイツ占領下のロンドン、1941年11月、闇商人らしき人物が射殺される事件が起こるが、何故かこれにSS上層部が介入し、本国からヒムラー直属のSS准将が送り込まれてくる。ロンドン警視庁の警視ダグラス・アーチャー(比較的若年で占領という事態に適応している)と部下の部長刑事ハリー・ウッズ(初老のたたき上げでドイツへの反感が強い)のコンビはこの事件の担当を命じられる。射殺された男の水ぶくれした肌と、解剖によって明らかになった重度の肝臓傷害・・・って原爆絡みであることは明白ですよね。50頁くらいでこういうのが判っちゃうのってどうなんだろ。もう少し謎めかして欲しい気がします。まあ、レジスタンスが関係してるらしいけど、これと親衛隊内部での主導権争いや親衛隊と国防軍との対立やらが絡んで、誰と誰がどうつながってて何が行なわれているのか、その全体像の中で今回の殺人が何を意味するのか、というところは興味を惹く謎にはなっています。国王救出作戦とか、アメリカに逃れた「自由イギリス」政府の正当性問題とか、そのアメリカの立場とか、どういう話になるのやら。
 それと、ダグラス・アーチャーのレジスタンスへの接近がどのような結果に結びつくのか、ですね。


 趣味がいいとは言えない表紙ですが・・・