ブルー・マックス

 

ブルー・マックス [DVD]

ブルー・マックス [DVD]

 備忘録としてあらすじを。
 1916年の西部戦線塹壕の中を這いずる独軍のブルーノ・シュタッヘル伍長*1(ジョージ・ペパード)が空を見上げると、二機の飛行機が空中戦の最中。青い空に飛び交う飛行機を背景にオープニングタイトルで、その空中戦からカメラが地上に戻ると1918年のフランス。同じシュタッヘルが少尉*2として飛行中隊に着任するところから物語が始まる。シュタッヘルは平民出身であることにコンプレックスを持ち、その代償としてかプール・ル・メリット勲章(ブルー・マックス)の獲得=名声の獲得を渇望。「空の騎兵」でありほとんどが貴族階級の飛行気乗りの仲間とはウマが合わない様子。初任務の観測気球攻撃の帰路、敵機の待ち伏せを受けてこの内の1機を撃墜するが、確認がとれない。クルーガーマン少尉(ジェレミー・ケンプ)との二度目の出撃では複座機を強制着陸に追い込むが、(機銃手が再び機銃に手をかけるのを見て)飛行場直前で撃墜し、騎士道精神に欠ける行為として中隊長オットー・ハイデマン大尉(カール・ミヒャエル・フォーグラー)以下の非難を受ける。そんなシュタッヘルのハングリー精神は、甥のクルーガーマン少尉へのブルー・マックス授与式典にやってきた伯爵フランツ・フォン・クルーガーマン将軍*3(ジェームズ・メイスン)の目に留まる。
 クルーガーマン少尉との奇妙な友情と対立、クルーガーマン少尉の情夫でもあるフォン・クルーガーマン伯爵夫人ケーティ(ウルスラ・アンドレス)との出会い、カイザーシュラハト、レッドバロン救援と負傷不時着、そしてクルーガーマン将軍の発案により庶民の英雄として宣伝の道具に。その折、ベルリンで伯爵夫人と一夜をともにする*4
 カイザーシュラハトの行き詰まり、シュタッヘルとの曲芸飛行競争の挙句のクルーガーマンの死、彼の最後の手柄を横取りするシュタッヘル、そんな彼に「野生」を感じ彼を激しく求める伯爵夫人。
 戦局はますます悪化し、飛行中隊の基地も爆撃を受ける。そんな中での地上攻撃任務。シュタッヘルはハイデマンの命令を無視して仲間を道連れに敵編隊と格闘戦を行い戦果を挙げるが、味方も半数を失う。ハイデマンは命令無視の咎でシュタッヘルを軍法会議にかけようとする。ハイデマンとシュタッヘルが赴いたベルリンの街は食料不足で暴動寸前。ベルリンのクルーガーマン将軍は「将校団の一体性を保つため」*5に命令無視を不問とし、彼にブルー・マックスを与えることを決定する。
 授与式前夜、伯爵夫人は一緒にスイスに逃げるよう誘う。シュタッヘルは更なる功名を求めてこれを拒否、授与式に臨むが、式の陰で・・・
(あらすじここまで)


 ラストでハイデマン大尉とクルーガーマン将軍が交わす敬礼の意味は・・・将校団の名誉が保たれた、という了解がなされたということなのでしょうか?


 ジョージ・ペパードの野心的な若者、ジェレミー・ケンプの貴族的な将校、ジェームズ・メイスンの老獪な将軍は、いずれも雰囲気出てますね。ジョージ・ペパードはドイツ人には見えないけど。ちなみにクルーガーマン将軍の副官ホルバッハをアントン・ディフリングが演じています。悪役っぽいドイツ軍人の役でよく目にする人ですね。
 田園風景の上を複葉機がユラユラと飛ぶ様子は、不謹慎ですが何とも言えない趣があります。映画のつくりにもレトロ感が出ています。一時間半ほどのところでインターミッションが入るのですが、そこでは画面に大写しのプール・ル・メリット勲章のイラストに音楽。
 CGなんかない時代ののどかな(いや、かえってスタントなんか大変な)映画です。

*1:字幕等では「ブルノ・スタッヘル」と表記。台詞の中ではドイツ系の役者さんは「シュタッケル」に近い発音をしていますね。

*2:Leutnant

*3:肩章に星が三つ見えるので上級大将か?

*4:ここの場面、伯爵家の執事が良い味出してます。

*5:将軍の理屈は「将校が罪に問われれば、それは将校団全体の一体性を損ない、革命を誘発する(あるいは革命の危機に直面して磐石でなければならない将校団の一体性が失われる)。」というもの。しかし、貴族的な将校団と価値観を共有しないシュタッヘルのような者を取り込んだことが、そもそも将校団の一体性を損なう行為というもの。結局は自らがとりたてた者が罪に問われることで自らの体面が損なわれるというのが大きな動機でしょう。