悲しみの聖母

スターバト・マーテル」といえばペルゴレージもいいんですが、先日書いた*1ロッシーニのものは独特です。第2曲のテナーのアリア「Cujus animam gementem」なんかはこれでもかってくらい俗っぽいし、かと思えば第9曲アカペラの「Quando corpus morietur」は透明でありながら暖かい聖の世界。この落差がたまらない。まとまりに欠ける、とも言えるかもしれませんが。
ジュリーニの演奏は遅めのテンポでじっくり聴かせて、だれるということがありません。ただ、テナーのダルマチオ・ゴンザレツあたりはこのゆっくり感についていけてない。歌い方が単調になってます。あと、終曲の「Amen. In sempiterna saecula」(アレグロ)は、もう心持ち速い方が一層緊張感が出ていいかな、と思ってしまいます。最後にテンポ上げて盛り上げるってのはあざといかもしれませんが。まあ、ゆっくりめだから細かい音符の動きが生きてて格好いいんですよね。ビシュコフの演奏だとこの辺がヘニャラ〜っと流れてしまってて今ひとつかと。それにしてもスターバト・マーテルで「格好いい」ってのは褒めてることになるのかな。いや、ロッシーニのこの曲ではそれでいいんよね。終曲の最後の方で第1曲が再現される部分なんかも、あの流れからすると強引だけど単純に格好いいって思ってしまいます。
仕事帰りにレコード屋さんに寄ったら、リッカルド・シャイー指揮コンセルトヘボウの演奏も出てるんですね。できれば聴き比べてみたいもんですが当分無理かな。

*1:id:makinohashira:20040925