迷宮ですな

忙しくなるとどうしても楽しみのための読書の時間が減ってしまって。ジョン・ディクスン・カーの「帽子収集狂事件」は何度目かということもあって意欲的に読み進めるといった感じではなく中断状態です。で、手にとったのが後藤均「写本室の迷宮」(東京創元社・2002年)。第12回鮎川哲也賞受賞作品だそうです。ごこかで読んだようなナチ絡みの話ですね。これ、面白いですか?今時の推理小説ってのは入れ子構造でメタのレベルのお話だとか、中途半端に衒学的な謎かけとか、凝ってはいるものの読み手を置き去りにした現代音楽みたいな感じでどうも・・・・・・*1。「薔薇の名前」の手法を安っぽくしたみたいですな。写本室ですから明らかに「薔薇の名前」を意識してるみたいですし。
ああ、ダメだ。歳をとったんですかね。こういうのを大らかに受け入れられなくなるのは悲しいです。
で、導入部のドルニエ、じゃなくてユンカース、じゃなくてただ飛行機としか書いてありませんでしたね、その飛行機がモンセジュール上空で旋回して云々って話に始まる全体的な謎に関する続編は書かれたんでしょうか?もし書かれているなら一応結末だけ立読みしたいと思います。

*1:現代音楽の全てが聴き手を置き去りにしているとは思いませんが、そのような作品も多いかも。ま、何が現代音楽なのかという定義がそもそも曖昧ですね。それに例えばワーグナーの「パルジファル」も聴き手を置き去りにしている感が無きにしも非ず、と言ってみたり。