スプリングカメラでいこう

写真工業12月号別冊「スプリングカメラでいこう」(写真工業出版社・2004年)
18日に出たばかりのスプリングカメラ(というかフォールディング・カメラ)に関する本です。「写真工業」誌では蛇腹カメラに関して過去に扱う機会も多く、「写して楽しむクラシックカメラ Part 1」「同 Part 2」でも幾つかの蛇腹カメラを詳しく紹介しているようでしたので、期待していました。が、残念ながら期待していた程の内容ではありませんでした。総頁数187頁(広告等除く)、冒頭にカラー作例が掲載69機種それぞれにつき1枚で29頁、スプリングカメラ愛好家によるエッセイが10頁、スプリングカメラの構え方(写真入り解説)2頁、巻末には8頁を費やして戦前の国産スプリングカメラの機種・レンズ・シャッター一覧が付されています。本体となる46頁〜179頁は35ミリフィルム使用のものとブローニーフィルム使用のものを合わせて69機種について、それぞれ2頁見開きで位置付け・使用感・使用上の注意・作例が載せられています。2頁といってもカメラ各部の写真や作例を合わせると1頁分はありますので、文章による解説はほぼ1頁のみ。濃い内容は期待できません。多くの機種を扱おうという方針はわからんでもないのです。でも案の定、バリエーションに関する解説はおざなりですし、使い方の解説も中途半端に終わっています。代表的な機種に関しては4頁くらい使って詳しく解説してくれても、ねえ。マイナーな機種も扱っていたり、戦前国産機種の一覧情報があったりというのはある程度評価できますが、これが「完全保存版」とは・・・・・・期待が大きすぎたということですね。
ちなみに次のような本もついでに買ってきました。
高島鎮雄「使うスプリングカメラ」季刊クラシックカメラMini Book 12(双葉社・2002年)
使うスプリングカメラ (クラシックカメラMini Book)
上の「スプリングカメラでいこう」で足りない情報はこちらでうまく補える感じです。例えば最初の一冊としてどっちがお薦めかと言われたら、私なら「使う・・・」の方だと答えるでしょうね。
蛇腹カメラについては初心者の私*1がこんな偉そうなことを書いてしまうのは、ネット上で様々な情報が手に入ってしまうからなんですね。海外のサイトも含めると、例えば私が買ったツァイス・スーパーイコンタに関するだけでも様々な情報が手に入ります。そういうのを見つけるのに手間がかかるかというと、最近の検索エンジンは優秀なので、適切な検索語を入れてやればそんなに難しいことじゃないわけです。本を見つけて手に入れるのと変わらない。もちろん、ネット上の情報は「プロの編集者によってチェックされ且つプロの著者によってオーソライズされた情報」ではないわけですが、雑多な情報もきちんと照合していけば精度の高いものが得られるんじゃないでしょうか。写真関係の本について言えば、色合いの再現度の高い「作例」が載ってることが特徴であり特長であるという考え方もできなくはないですね。でも、本の「作例」の色合いは本当にオリジナルに忠実だと言えるのでしょうか?*2また、そもそも写真として価値のある「作例」になっているのでしょうか?疑問の残るところです。


注釈

*1:買う時に裏蓋の開け方、蛇腹の閉じ方、絞りとシャッタースピードのリングの動かし方等々、何もわからなくてお店のおっちゃんに教えてもらったです。はい。

*2:ウェブ上の画像は閲覧側の環境によって全く異なった表示になってしまいうるので、本はそれよりもマシかもしれませんが。