ヨーダ回顧録

忙しいときにこそ活字に逃避(笑)
今年の初めに岩波から出ていた御厨貴他編「聞き書 宮澤喜一回顧録」(岩波書店・2005年)などというのを書店で見つけて買ってきました。最近新聞の書評欄を読んでないので、こういうのが出てても気付かないことが多々あります。ちなみに岩波専用コーナーで隣にはヴェルナー・フェストの「ヒトラー最期の12日間」なんてのが並んでました。どっちを買うか迷ったんですが、宮澤喜一氏あたりのものの考え方には以前から興味があったので、こっちを選びました。

聞き書 宮沢喜一回顧録

聞き書 宮沢喜一回顧録

で、敗戦まで(第二章)の辺りまで読んでみました。予備知識がないと辛いですね。この後、戦中からGHQの話までは順調に読めるかもしれませんが、講和条約前後からの戦後政治史に関しては勉強不足なので難渋するかもしれません。手っ取り早く「小説吉田学校」でも読み返しましょうかね。
でも中身は興味深いところが多く出てきます。第二章までだと肝心なところは「私は渦中にいませんでしたからわかりません」なんてアッサリかわしてしまうところが多い*1んですが、それでもこの世代の人の経験と考え方が窺い知れて面白い。宮澤喜一という人の特異性も。さらりと書かれてますが、我々から見ればかなりな家柄のお生まれで、武蔵野高等学校の独特の雰囲気の中で育ち、アメリカでの日米学生会議(1939年)に参加して、その途中でドイツのポーランド侵攻を知り・・・。満州国の印象とか、アメリカで買った「共産党宣言」を隠して持ち帰って読んだけどマルクスの思想は理解できなかったとか、軍人勅諭を忘れた配属将校とか、まるで自分の伯父達の昔話を聞いているかのような親しみを覚えると同時に、この人相当の人なんだなと感心することしきりです。
この先は無理せずゆっくり読みましょう。

*1:半分は大蔵省入省以前の話なんで当然と言えば当然です。でもパラパラとめくってみた感じでは、この先もそんな感じの箇所が結構ありそうです。