元帥夫人の諦念

 

Der Rosenkavalier

Der Rosenkavalier

朝から蝉時雨と扇風機の爆音の中(そうさ、ウチにはクーラーがないのさ)、リヒャルト・シュトラウス「バラの騎士」を聴くという倒錯感。しかも演奏はクナッパーツブッシュ指揮の1955年、ウィーン国立歌劇場再建こけら落とし公演のライブ(海賊盤*1という倒錯感。でもこの演奏は晩年の「パルジファル」や「フィデリオ」のようにベターっとはしてません。情緒感あふれるというのではなく皮肉っぽい響きがしますが、この曲にはそういう方があってますし。歌い手の方は、クルト・ベーメのオックス男爵(少し嫌らしすぎかも)やユリナッチのオクタヴィアンと並んで、マリア・ライニングの元帥夫人の静かで落ち着いた元帥夫人が非常によろしい。
「バラの騎士」はリヒャルト・シュトラウスの「マイスタージンガー」であって、物語の要は元帥夫人。難しい役どころです。枯れていてはいけない。大人の色気があって、かつ大人の諦めを演じなければいけない。シュヴァルツコップフは一寸違うんですよ、私のイメージでは。

*1:何年か前にBMGから正規盤が出ていたと思いますが、私の持ってるのはMelodramの方なのです。