ヴェルザー=メストのマイスタージンガー
Die Meistersinger [DVD] [Import]
- アーティスト: Zurich Opera House,Welser-Most
- 出版社/メーカー: 株式会社ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2004/12/29
- メディア: DVD
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マイスタージンガーといえば、東京では新国立劇場とバイエルンと二種類の公演が同時期にあったようで、うらやましい限りです。私はマイスタージンガーの実演といえばベルリン・ドイツ・オペラが東京に来た時に1回観たきりなんですよね・・・
さて、中身ですが、いろいろ不満な点はあるもののマアマアというところでしょうか。
特にニコラウス・レーンホフの演出には理解しがたい箇所が多かったです。フロックコート姿のマイスター達なんてのはもう見慣れててどうでもいいんですが、第5場の歌合戦の広場の場面、群衆が円形劇場の客席のような配置で座ってて、みんな白系の服を着てまして・・・遠目には囚人の群れか何かにしか見えません。んで、靴屋、仕立屋、パン屋と組合毎に入場行進があるはずでして、それはよほど規模の大きな劇場じゃないとできないから実際に入場してこなくてもいいんですけど、少なくとも群衆をそれぞれに分けておかないと掛け合いの面白さが出てきません。このDVDでは群衆はひとまとまりの群衆でしかなく、それが全ての組合の歌を歌ってしまいます。視覚的にも聴覚的にも訳がわかりません。次に親方達の入場後、群衆がザックスを讃えるコラールを歌います。ここでは、ザックスのマイスタージンガー達の中での位置づけや群衆のザックスに対する共感の根源が奈辺にあるのか、演出による解釈の提示が必要なところですが、これも明確ではありません。第1場から第4場のザックスの書斎は、舞台の真ん中に雑然と本が積み上げてあって、ザックスの風体ともあわせて彼が古本屋の親父にしかみえません。はぁぁ
書いてて判らなくなってきました。どこがマアマアなんだろ?
ザックス役のホセ・ファン・ダム、老けましたねえ。声量が落ちて歌にも余裕がなくなっています。それが歌の上場の乏しさに繋がっています。でも演技・表情でそれをカバーしている感じでしょうか。ベックメッサーのミヒャエル・フォレは少しジャック・ニコルソン的な要素が入ってて、人間ここまで邪悪になれるのかという感じの存在感たっぷり。この人とマッティ・サルミネンの泰然自若といった感じのポーグナー(サンタクロースみたい)は納得できるキャスティングかな。
ヴァルターとエーファのカップルは・・・別の意味で存在感たっぷりですね。ペーター・ザイフェルトはヘルデンテノールのような容姿から細身の声が出てくるアンバランスさがなんとも言えません。ペトラ=マリア・シュニッツァーも、昔は美人だったんでしょうね、今や細木数子がブリュンヒルデを歌うはずなのに無理矢理エーファで出ちゃったというような。爽やかさのない、重量感のあるお二人でした。
オペラで歌手の容姿に文句つけだしたらキリがないけど、あのエーファはないよな・・・
(続く)