ライナーのマイスタージンガー第1幕

 仕事の途中でCD屋さんに寄ったら、1955年のウィーン国立歌劇場再建記念公演の一つ、フリッツ・ライナー指揮のヴァーグナーニュルンベルクのマイスタージンガー」がOrfeoレーベルで出ていました。10数年前にMelodoramレーベルで出ていたのを買って、録音状態と演奏の酷さにその後売ってしまった演奏です。どうしよう、買おうか買うまいか・・・*1
 Orfeoですからエアチェックのような酷い音ではないでしょう。演奏は・・・昔のことなのではっきり思い出せないのですが、終幕でハンス・バイラーのヴァルターがボロボロになってたのが一番駄目駄目だったような。それ以外はどうだったかな。あの頃はまだ若かったから些細なことが気になって売っ払っちゃったのかもしれないな。


 逡巡すること10数分、結局買ってきました。出費が痛い・・・
 

Die Meistersinger Von Nurnberg

Die Meistersinger Von Nurnberg


 CD1枚目*2を聴いてみましたが、昔の記憶よりも格段に音は良くなっています。ヴァイオリンが前に出まくった*3前奏曲は緩急のメリハリがついていてなかなか良い感じです。ただ良くなったとはいえ音が人工的で聞きやすくはないですね。ウォッ?冒頭の教会の合唱はセットの裏ででも歌っているのでしょうか?遠く霞がかかったような聞こえ方です。歌が入るとオケの音は引っ込みますね。これは仕方ないか。
 マグダレーネ役(ロゼッテ・アンダイ?)が大げさなヴィブラートで大年増の無理やり若作りみたいに聞こえるのが最大の萎え萎え。ハンス・バイラーの発声も気になります。第三幕の五重唱の出来が思いやられます。ダーヴィッド役のディッキーはまずまず。イルムガルト・ゼーフリートのエーファとエーリヒ・クンツのベックメッサーは巧いですね。ゼーフリートは時々ヒステリックな声を出すのが気になりますが。オーケストラは流れに乗り切れていない感じ。
 全体的に昔の印象ほど悪くないかな。明日・明後日とゆっくり聴いていきましょう。

*1:ライナーの「マイスタージンガー」はもう一組、1950年代のメトロポリタン歌劇場のを持っているのですが、第三幕第四場のカットがアレなので長らく聞いていません。この時代のメットだとカットがあるのは仕方がないのですが・・・。

*2:「Fanget an!」のところ、ヴァルターの歌が始まる前までという常識的な割り振りです。

*3:これは解釈ではなく録音の問題でしょう。ヴァイオリンの美音は楽しめますが、低弦の響きはいま一つですし、木管金管は時折辺に強調されて聞こえるだけで基本的に奥に引っ込んでいます。