パイド・パイパーその3

 パイド・パイパー - 自由への越境 (創元推理文庫)
 え〜、その2で書いた予想は全くの外れでございまして。
 

 まず、ハワード氏とニコルが頼ろうとした漁師の妻のお父っつぁん、対独協力者なんて決め付けてスマンかった。イイ奴でした。作男として働いていたポーランド人の子供を匿っていて、その子も連れてってくれるなら協力すると。エエ話や。
 で、ブレスト近くの港町まで無事に到着。あとは手配した船に乗るだけというときに・・・お子ちゃまがやらかしてくれるわけですよ。ハリウッド映画みたいな展開です。一同逮捕されてゲシュタポ支部に拘束されてしまいます。そうそう、登場人物表にゲシュタポの少佐が載ってて、まだ出てきてなかったんですよね。満を持しての登場です。
 ハワード氏、イギリスのスパイと疑われてしつこく尋問されます。


 この危難をどのように潜り抜けるのか、はネタバレになってしまいますので止めておきましょう。
 爽快感といったものはありません。ある種の達成感と、戦争が続いていくことへの不安、哀しみ。余韻のある終わり方です。涙が出かけました。


 ちなみにニコルはレジスタンスの活動家にはならないでしょう。この小説のエンディングの状況からはそれは危険過ぎますし、何よりも彼女の精神は(不完全ながら)解放されたわけですし。


 この小説、二度ほど映像化されているようですね。勉強不足でした。