遍歴7

 随分間が空いてしまいましたが、万年筆遍歴のお話。
 4〜5年前のプチ・マイブームから現在まで、私の手元で最も増殖したのはペリカンの万年筆でした。アウロラのマーレで「限定品」という商売手法にまんまとノセられた私の興味は限定品に。ペリカンの限定品のコンセプトって、どこか間が抜けていて愛嬌があって好きです。モンブランとかデルタあたりと比べると、本当に商売するつもりがあるんだろうか、なんて思ってしまいます。レギュラー品と比べて馬鹿高くないのもいいですね。いや、馬鹿高いのもあるんですが、そういうのには目を向けません。
 現在手元に残っているのは

  • スーベレーンM600とK600のセット(茶軸):丸善の何かの記念限定製品で、万年筆とボールポイントペン、ペンケース、ボトルインクのセットでした。茶軸が好きなもので、つい。ボールペンの方を日常使いにして、万年筆はまだ箱の中です。
  • Pelikan 1935 Blue:「Originals of their time」という復刻シリーズの中のもので、1935は青軸と緑軸が発売されたようです。短い・ひょうきんな感じのペンで、キャップをお尻に挿すと結構長くなってバランスがとれるようになっています。携帯するにはもの凄く便利なので、常に持ち歩いてあらゆる用途に使っています。最初ペリカンのブルーブラックのインクを入れたときはかなり渋い書き味でガッカリしましたが、Montblancのブルーブラックに替えると見違えるほど良くなりました。モンブランのインクもフローはそれほど良くないそうなのですが、でもペリカンのインクに比べると随分マシなようです。・・・とするとインクの出が良すぎるMontblancの146にペリカンのインクを入れればいいのかな。今度試してみましょう。
  • Pelikan 1931 Gold:これも上と同じような復刻で、1935より先に出ていたものです。これの他にホワイトゴールドのものがあって、わたくし的にはそちらの方が好みなのですが、この金色の方を見かけたので買ってしまいました。最近まで使わずにとってありました。「使わずに置いておくなんて無駄じゃん」と反省して万年筆を買うのを止めることを決意させたペンなのです。で「遍歴」を書き始めたのを機に久々に箱を開けてみると、エボナイトが焼け、金の部分もくすんでしまって、哀れな姿に成り果てていました。こりゃいかん。一所懸命磨いて何とか見られる状態に。で「やっぱ使わなきゃ」ということで、カルティエボルドーを入れて上の1935と一緒に持ち歩いています。ペン自体の書き味は渋めですが、インクが潤沢に流れ出るので気持ちよく筆記できます。ちなみにこの1931と上の1935は、わたくし的には「馬鹿高い」ペンの範疇に入りますが、実際に払ったお金は定価の半額で済みました。それでも高いのに変わりないけど・・・
  • M400の茶軸:何年か前に廃番になってしまったらしいですね。これは今年の正月に実家に帰った折に、親父様の死蔵品をもらい受けてきたものです。神田の「金ペン堂」さんの名刺と手書きのマニュアルが入っていました。15年ほど前のものらしいです。実のところ、このM400の発掘で万年筆への興味がほんの少しだけ再燃して、M320「マーマレードちゃん」の購入に至ったのでありました。未だ使っていません。
  • M200の黒軸:これも親父様の死蔵品。古いタイプのインク瓶が付いてたので、それを目当てに貰ってきました。手前側にペン置きの窪みがついてるタイプですね。
  • M320:流石に常用するには小さすぎますね。手帳と一緒に携帯するのにはいいかもしれませんが、強度面で不安がありますし。無論この大きさでピストン吸入式というのは頭が下がります。それを楽しむためのペンなのかもしれません。半透明マーマーレード柄の軸は、中に入れるインクを選びますし。前に書いたとおり、私はセーラーの「イエローオレンジ」とウォーターマン「レッド」を混ぜたものを入れました。最近ではイタリア語勉強用のマーカーとして重宝してます。


 これらの他に、世界の都市シリーズ、特に最初の「ストックホルム」と「ベルリン」には大いに惹かれましたが、そのころには熱意も冷め初めていて購入には至りませんでした。で、気が付いてみれば都市シリーズは終了して史跡シリーズですって。第3弾の「ピカデリー・サーカス」を目にしましたが、凄まじい色合いでございますね。このシリーズ、最初の「ピアッツァ・ナヴォーナ」は手に入れておこうかと思っています。先立つものが何とかなれば、ですが。