The Historian その5

 ということでトイレのお供に「The Historian」などを。腹痛を紛らわそうとするからか、結構集中して読むことができたりします。CD聴いた分の読み返しは29章まで。
 1970年代の「私」は父を探してピレネーへ向かう列車の中。
 1950年代の(「私」の)父はロッシ教授を探してヘレンと一緒にイスタンブールへ。トゥルグート・ボラ教授と知り合って謎の地図とドラゴン騎士団の文献リストを見ることができます。文献リストには何故かロッシの名と発表予定の論文の題名が・・・。


 読み返しがなかなか進まないので、CDで聴いた部分の先の箇所を並行して読むことに。こちらはヘレンの母が(「私」の)父とヘレンに語るロッシとの出会いの話。淡々としていて、それゆえに泣けます。ロッシが落としていった同僚宛の手紙をヘレンの母が大事に持っていて、父とヘレンはそれを託されます。


 まだまだ全体像がわかりません。「私」の序文にもあるように、誰が生き残り誰が生き残れなかったのか、そしてそれは何故なのか、非常に非常に気になります。でも、ちゃっちゃと読める本ではないですね。重くくすんだ雰囲気に飲み込まれて、じっくりゆっくり読まざるをえないんです。南欧の明るい風景でも、ボストンの教会でも、イスタンブールの雑踏でも、どこかに禍々しいかげがあって。恐怖というのではなく不安感というか、まさに「かげ」がつきまとって離れてくれない。そんな小説です。