The Historian その6
- 作者: Elizabeth Kostova
- 出版社/メーカー: Sphere
- 発売日: 2006/02/02
- メディア: ペーパーバック
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ドラキュラの墓は実はイスタンブールにあると主張するボラ教授はとりあえず措いて(ボラ教授のアーカイブの司書は、「私」の父とヘレンとを追いかけてきたアメリカ人司書=吸血鬼に血を吸われてしまいましたが・・・)、ヘレンの母から手がかりを得るために、「私」の父とヘレンの二人はブダペシュトに。「私」の父はアメリカ人。1954年のハンガリーには簡単には入国できません。でもヘレンの伯母エヴァが内務省の偉いさんで、彼女の取り計らいにより、当地で開催される学会に出席するという名目で(名目だけでは済まず、ルーベンス時代のオランダが専門のはずの「私」の父はオスマン統治下の東欧での労働問題(!)について報告をしなければならなくなりますが)、無事に入国。スターリン死後、1956年のハンガリー動乱までの間、ナジ・イムレ政権の下での束の間の自由が感じられるブダペシュトの情景。
二人は学会でイギリス人学者ヒュー・ジェームズに出会います。昼食の席での会話から、彼のもとにも、ドラゴンの画のはいった本が出現していたことがわかります。ロッシ、「私」の父、「私」の父とほぼ同世代か少し上と思われるボラ教授とジェームズ。ドラゴンの本はどのような基準の下に出現しているのでしょうか。
このあと、第44章まで、「私」の父の学会発表、大学図書館での俗謡の検証、ジェームズとの情報交換、ヘレンの母との対面と続くはずです。吸血鬼化したアメリカ人司書はブダペシュトにもついてきています。
仕方ないこととはいえ、「私」の父がロッシ教授を探す(1950年代)のも、「私」が父を探す(1970年代)のも、結構ノンビリしてますよね。特に前者。教授の失踪から既に何日経っているのやら。