SS-GBの続き

 レン・デイトンの「SS-GB」の続き。日数はかかったものの時間はかからず、比較的あっさりと読み終えました。


 何といってもドイツのお偉いさん達の大局を見る目の無さというのが泣けてきます。国王が幽閉されているということの意味も原爆開発の意味も、目先の利益としてしか理解できない。特に王妃と二人の王女がNZに「滞在中」(実質は亡命ですわな)ということは、国王陛下には是非ともロンドン塔で生き永らえていていただかないといけないはずです。親衛隊やSDや国防軍に外交感覚なんぞ求めるのも間違ってますが、おそらくは例えば親衛隊の長官閣下のレベルにもそれが備わってないわけで。そういうナチスの限界(それは総統閣下自身が権力闘争に勝ち抜くために作り上げた分割統治的な体制の限界とも言えるわけですが)というのがよく描写されているということかな、と。
 架空史の中でもソヴィエトや合衆国との見せかけの友好は永続しないことが示唆されていて、そうなってくるとやはりまあドイツの敗北は必至なのでしょう。架空史の中でも合衆国は日本と対立しているようで、そちらの戦争にも備えなければなりませんが、原爆の開発は早まりそうですし。


 それにしても、マルクスの遺骨をロンドンの墓地から掘り返してソヴィエトに送る、その記念式典の最中に墓地をレジスタンスが爆破するというのは・・・。倒壊する墓石、散乱する屍骸(古いのも新しいのも)・・・って、笑うところなんでしょうね。これ。