酒の肴
- 作者: 青木正児
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/06/16
- メディア: 文庫
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まだ読み始めたばかりですが、いきなり「最高の食物は?」という話で、痛飲して寝たものの夜中に目が覚めて喉が渇いた、そんなときの漬物の漬け汁の冷えたもの(みたいな感じだと思ってください)なんてのが出てくるのには、断酒中の酒飲みとしては唸らされます。一寸過ごしかな?という折に茄子の漬物と冷たい水で仕切りなおしなどというのに通じるものがあるような。
基本的に文字ばかりの本ですし古典からの引用が難解な箇所もありますが、作者の語り口のおかげでしょうか、あるいは読み手の呑み助気質のゆえでしょうか、酒宴の情景を思い浮かべながら楽しく読むことができます。
それにしても本屋さんで本を眺めてると「人生は短く、世界は広い」と何だか寂しく悔しい気分になります。膨大な量の知のうち、一人の人間が一生の内に触れられるものがどれほどあるのだろうかと。活字だけが世界ではなく、日々の経験というある意味より貴重なチャンネルがあるとしても、でも経験を超えた箇所にある何かを手に入れたいという欲望があるわけです。
人生は短い・・・というより与えられた時間を無為に過ごしてしまっている・・・無為も貴重だという言い訳の下で・・・