メフィストフェレス

 な〜んか駄目だぁ〜 と思ったら風邪をひいてしまい、土日は動けず。まあ元々ゆっくり休むつもりではあったわけですが。


 寝たり起きたりしながら聴き続けているのは・・・
 

リスト:ファウスト交響曲

リスト:ファウスト交響曲

以前の日記でも少し触れた(id:makinohashira:20050523#p4)、バーンスタイン指揮のリスト「ファウスト交響曲」です。これはこれで良い演奏ではあるものの、もう少し激しくてもいいかな、なんて思ったり。そう思ったが最後、最近じゃもっと凄い演奏が出てるんじゃないかな?と気になり出します。こんなふうに青い鳥を求めてるとCDが際限なく増えていってしまうんですね。自重せねば。


 この曲は3つの楽章からなっていて、それぞれがファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレスをイメージしているそうです。第3楽章の末尾には、人間性が悪に打ち勝ったことの証でしょうか、ファウスト第2部の最後の個所をテキストとするテノール男声合唱による終曲が付されています。
 時に陰鬱で時にダイナミックな第1楽章も良いのですが、私が好きなのはこの第3楽章です。ここでのメフィストフェレスは、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」でのベックメッサーのような(あれほどにはコミカルではありませんが)生き生きとした賢しらな悪として描かれています。むか〜し昔にゲーテの「ファウスト」を読んだのを思い出します。威圧的な悪ではなくて、徹底的に人間と人間性を憎悪し愚弄し嘲笑する悪。跳躍する悪。しなやかな悪。しかし才に溺れて(且つ人間の誠実さという壁に阻まれて)最後には敗れるというのが、人間が考えた慰めであるわけです。
 う〜ん、ゲーテを読み返してみる必要がありそうです。