無料動画配信で陰陰滅滅

 祝日の昨日、見事に風邪をひいた私は市販薬の助けを借りながら寝たり起きたりの生活。合間にYahoo!動画を見てみました。夏から秋にかけては子供と「ムーミン」で楽しみました。知らない内に海外ドラマでNHKの昔の輸入ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」「名探偵ポワロ」「心理探偵フィッツ」なんてのを、一部分ですがやってるじゃないですか。ありがたやありがたや。・・・ゲッ!11月30日まで?実は今週にはいってから職場の昼休みにこっそり観てたりしたんですが、とても追いつかない。で、祝日、ダウンして家族から見放されたのを奇貨として、自室で休むと称してこっそり鑑賞ですよ。
 「ホームズ」15話分、「ポワロ」12話分、「フィッツ」4エピソード9話分、それぞれ1話が45〜55分。とても全部は観られそうもないので、昔散々観たホームズはパス。まずはお洒落な「ポワロ」を昼休みにコソコソ。今回の休みには、以前少しだけ見て衝撃を受けた「フィッツ」をまとめて観ることにしました。最近警察小説に興味があるのも手伝って。でも、風邪で本当に寝ないと駄目駄目なので、エピソード3は後回しに。


 さて、その「心理探偵フィッツ」=原題「CRACKER」
 1990年代、英国グラナダTVのシリーズ。全部で10のエピソード(各2〜3話)があるようです。Yahoo!動画で公開中なのはエピソード4の第2話、ちょうどビルボロー警部(クリストファー・エクルストン)が殉職するところまで。ベック部長刑事(ローカン・クラニッチ)の聞き込みの詰めが甘かったのが原因。犯人のアルビー・キンセラロバート・カーライル)の自宅に聞き込みに行っていながら、言い訳に丸め込まれてその言い訳を別角度から検証しようともしない。今回初めて観たエピソード2でギッグス刑事が殉職するのも自らの聞き込み捜査の上でのミス―――色仕掛けという点も含めてフィッツ(ロビー・コルトレイン)の推理による犯人像に一致するにもかかわらず罠にはまってしまう―――によるもので、いわばこれをベックが繰り返して今度は上司を死なせてしまうんですね。
 私が以前何かの機会に観た観たエピソードは、このビルボロー警部殉職の回で、それで印象に残ってるんですね。次の解決編の回、犯人のアルビーが追い詰められるところも観たはずなんですが、あまりよく覚えていません。最後に小包爆弾が爆発するような記憶が・・・
 あと、ベックがペンハリガン部長刑事(ジェラルディーン・サマービル)をレイプしたの何のと揉めてるような回を少しだけ観たように思います。エピソード1、エピソード2と見てみても、ベック部長刑事、ニンともカンとも・・・ある意味典型的な「刑事」で、仲間意識が強く、情に流され易く正義感も強いものの、遵法意識がその独自の正義感に負けてしまう。フィッツの手法に一番懐疑的。エピソード2で痛い目見たはずなのに。
 全然関係ないですけど、警察官にアイルランド系が多いのはアメリカの話でしたっけ、イギリスの話でしたっけ。ペンハリガンってアイルランドっぽい名前ですよね。んでふと思ったわけです。フィツジェラルドもそうですが、フィッツは警察の人じゃないか。


 ということで、3エピソード分は観ましたが、加害者も被害者も警察内部も歪みまくっている陰陰滅滅とした世界にご馳走様。それこそが人間社会というか現代社会なのかもしれませんが。あと、プロファイリングを成り立たせるためには陰陰滅滅とした事件という設定にせざるをえないんでしょうけど。
 こんなもん風邪でぶっ倒れてる時に観るもんじゃありませんね。


 ロバート・カーライルとロビー・コルトレインについて一寸。
 衝撃的なエピソード4の犯人役のロバート・カーライルは最近良く見る役者さんですね。「トレインスポッティング」「フルモンティ」、それから007シリーズの「The World Is Not Enough」とか。「ワールド・イズ・ノット・イナフ」はソフィー・マルソーがエロかわいかったなぁ。ソフィー・マルソーハリソン・フォードがあと10ずつ若かったら、「ダ・ヴィンチ・コード」はこの二人で決まり!だったのになぁ。ってカーライルの話から外れてますがな。最近観たDVDだと「ヒットラー」という、権力掌握までのヒトラーを女性関係や側近あるいは政敵との関係を中心に描くTVミニシリーズでヒトラーを演じていて、カーライルの目のギラギラが「ああ、ヒトラーだ!」という感じで結構はまっています。この「ヒットラー」ではピーター・オトゥールが痩身をダボダボの軍服に包んで死にかけのヒンデンブルク大統領役を怪演してますね。ってまた話が逸れた。
 この「心理探偵フィッツ」でのロバート・カーライルを見てると、「警察署長」でフォクシー・ファンデンバーグ役を演じたキース・キャラダインと重なるんです。それで印象が強いんだと思います。私「警察署長」大好きですから。犯罪の種類は違うんですが、孤独感・疎外感、認められないことへの絶望と怒りといったことが目に表れている、そんな様子がそっくりかな、と。
 主人公のエディー・フィッツジェラルド(フィッツ)を演じたロビー・コルトレインは、今や「ハリー・ポッター」シリーズで有名ですね。この人も。「ワールド・イズ・ノット・イナフ」に出てたわな。お茶目でなかなか良い死に様を見せてました。私はこれまで「フィッツ」を2〜3話分しか観ていなかったわけですが、それでもこの「フィッツ」のイメージ(ほとんど人格破綻気味なまでの我侭、酒好き、ヘビースモーカー、ギャンブル狂・・・ヤクに手を出していないのが不思議)が強すぎて、「ハリー・ポッター」の巨人役の方に違和感を感じ続けていました。役者さんのイメージを固定してしまうのは、その役者さんにとって酷なんですけどね。私が多種多様な映画を数多く観ていないのがよくないんでしょうね。
 ちなみに、これは容姿・風貌だけの問題ですが、ロビー・コルトレインって「警察署長」で郡保安官スキーター・ウィリス役をやっていたポール・ソルヴィノに一寸似ているような気がします。ソルヴィノの方が毒気は少ないけど、オリバー・ストーン監督の「ニクソン」でヘンリー・キッシンジャーなんかもやってる、なかなか幅の広い役者さんです。


 最後に。DVDも出てるようです。

心理探偵フィッツ DVD-BOX1

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