2006年の読書
無駄遣いのあおりで本当にブックオフの100円コーナーがお友達に。まあ100円コーナーのお陰でレン・デイトンの「SS-GB」を見つけられたわけですが。
今年読んだ冊数は、仕事に関係しない本全体で100冊強(再読含む)といった程度。平均すると1週間に2冊か・・・衰えたなぁ。面白かったのは、ジョルジュ・シムノン著矢野浩三郎訳「モンマルトルのメグレ Maigret au "Picratt's"」(河出書房新社=メグレ警視シリーズ7)で、感想を書こうと思いながら果たせず。動機や背景にからむ話が広がりを持っていて、それがモンマルトルに集約されて犯人逮捕に至る、緊張感をもった構成だなと感心します。そこにキャバレー「ピクラッツ」のうらぶれた空気の混ざった色彩感が加わって、面白い雰囲気の作品になっています。所轄のロニョン刑事の描かれ方もポイントの一つで、これが別の作品「メグレと幽霊」*1に繋がるんですね。
それから古本屋さんで買った青木正児「酒の肴・抱樽酒話」(岩波文庫)*2。実際に飲む面で調子が出ない分を、本を読んで補っている感じが無きにしも非ず。
こんなのも面白かったです。Levitt, Dubner "Freakonomics"
- 作者: Steven D. Levitt,Stephen J. Dubner
- 出版社/メーカー: HarperLP
- 発売日: 2005/12/27
- メディア: ペーパーバック
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- 教師と力士に共通するのは?(イカサマの心理とインセンティヴ)
- クー・クラックス・クランと不動産屋の類似点は?(情報の非対称性と濫用)
- ヤクの売人が母親と一緒に住むのは何故か?(販売組織の構築と維持)
- 犯罪者は何処に行ってしまったのか?(妊娠中絶の見えざる影響/人体・生命と社会的利益のトレードオフ)
- どうすれば完璧な親になれるのか?(教育と人格形成/階級・人種差の現実)
こんな項目を立てて、我々が考える「常識」を経済学・統計学・社会学的観点から洗いなおしていくという本。Levittはシカゴ大学の経済学者、Dubnerはジャーナリストで、興味をひく素材と構成で経済学的な「考え方」(及び社会の隠された現実)を語ることに成功しています。
積ん読状態になっている本も多数。「1776」とか。
イタリア語は完全に中絶・挫折。年明けから再度頑張ろうかな。
*1:同じく河出書房新社のメグレ警視シリーズ5。佐宗鈴夫訳。シリーズでの発刊は「幽霊」の方が早いが、原作の出版は「モンマルトル」の方が先。
*2:id:makinohashira:20060819#p3