シノーポリのマーラー
シノーポリのマーラー交響曲全集(管弦楽伴奏付き歌曲集も入ってます)をiPod miniにしこしこと入れたのは去年の秋になりますか。それからちょこちょこと聴いているのですが、上に書いた「es」を観た後、その中の第9番を無性に聴きたくなりました。
マーラーの交響曲第9番については、わたくし的には何と言ってもサー・ジョン・バルビローリとベルリンフィルの演奏が一番です。あくまで「交響曲」であり、暖かみがあり、過度に耽溺せず且つ過度に外面的でない演奏。今の演奏水準からすれば、細部がデフォルメされてしまった、全然マーラー的じゃない、微温的で面白くない演奏なのかもしれないのですが。
さて、シノーポリとフィルハーモニア管の演奏は?
ブルックナーのところで書いたように、私にはどうも「シノーポリ・イコール・エキセントリック」みたいな変な先入観があるのです。それがブルックナーやこのマーラーを聴く限りでは、良い方向に期待はずれなように思います。何だか凄く上品なのですよ。だから私には受け入れやすい(私が上品だというわけでは決してありません)。ちゃんとマーラーらしい錯綜した音楽は聞こえてきて、その点ではバルビローリの演奏よりマーラーしているけど、全体が一つの優美なフォルムをなしてまとまっているという意味ではバルビローリに近いものがあるのではないかと。クラシック好きな方には決して認めてもらえないだろう、すごく乱暴なまとめ方ですけど。
一方にヴィクトリア朝に郷愁を抱く極めてロマン的な人間だったバルビローリが1960年代のベルリンフィルと録音したマーラー。他方に作曲家でもある現代人シノーポリが高度に機能的な1990年代のフィルハーモニア管と録音したマーラー。
シノーポリにはシュターツカペレ・ドレスデンとのライブ録音も遺されているので、そちらも聴いてみなければ。
ちなみにシノーポリが同じフィルハーモニア管弦楽団といれたエルガーの交響曲は、バルビローリの演奏と違って、上品でも高雅でもなく、どこか脂っこさを感じます。
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