銀河ヒッチハイクガイドの続きとか

 最近の娯楽・教養の読書:

  • ダグラス・アダムス『宇宙の果てのレストラン』『宇宙クリケット戦争』『さようなら、いままで魚をありがとう』『ほとんど無害』(いずれも河出文庫)・・・前に読んだ『銀河ヒッチハイクガイド』(id:makinohashira:20090904#p1)の続編たち。内容をまとめて感想を書きたいけど、私には難しいかもしれません。第2作までを映像化したイギリスのTVドラマと、2005年に映画化されたものが、それぞれDVDになっているようです。YouTUBEにもあるようです。
  • ケイト・ロス『マルヴェッツィ館の殺人』(講談社文庫)・・・1820年代、オーストリア支配下の北イタリアで起こった地元の有力貴族殺害事件をイギリス人貴族探偵ジュリアン・ケストレルが解決する推理もので、当時の政治情勢、それにオペラ歌手のパトロネージュが背景になっています。音楽絡みということで買って読んでみました。原題は『音楽の悪魔』で、この原題のまま方が内容と繋がっていて良かったのに。面白かったのですが、「犯人以外の者はやっていない・不可能だった」という点の論証に注意が払われていないように思えます。まあ、そこを厳密にやろうとすると、コリン・デクスターのパズルみたいな小説になってしまうのでしょうけれど。
  • スチュアート・ホワイト『英国王女を救え』(二見文庫)・・・ラインハルト・ハイドリヒにより、二人の王女を誘拐してきて英国の戦意を喪失させようという計画が立てられ、その下準備のためにバトル・オブ・ブリテン前夜の英国にSDのスパイが潜入します。計画を知ったヒトラーは当時未参戦のアメリカを刺激することをおそれて計画を中止させますが、このSDのスパイ(少年期を英国で過ごしたことがあり英国人を憎悪するとんでもない変態サディストという設定)が中止命令をきかずに暴走して王女達の暗殺を企てる事態に。彼を止めるために、ヒトラーチャーチルの協定により(!)国防軍防諜部の大佐が英国に送られ、スコットランド・ヤードの警視と一緒に奔走しますが・・・という、荒唐無稽もここに極まれりというお話。スパイものは荒唐無稽な設定も含めて楽しまないといけないのでしょう。あるいはナチのSSやSDという組織は、「王女を誘拐してくれば国王も国民も戦意喪失間違いなし!」なんていう考えが本気で成立してしまいそうな所だったんでしょうか。
  • Tony Le Tissier "THE SIEGE OF KUESTRIN, 1945"・・・ベルリンの東方、オーデル河畔にある交通の要衝キュストリンの攻囲戦のドキュメンタリー。様々な生存者の証言のコラージュの合間に簡単な全体像の説明が入るという構成で、確かに証言の部分は生々しくて興味深いのですが、時系列も場所も整理されておらず非常に読みにくい本でした。地図は結構豊富に挿入されていますが、正確さに欠けたり本文の記述と矛盾があったり。ちなみに、著者自身も序文で書いてますが、この本の大部分は、Fritz Kohlaseの自費出版の証言集とHermann Thramsの自らの日記をベースにした書物が元ネタで、ほとんどその翻訳(しかも英語として非常に読みにくい)みたいなもののようです。この著者は第二次世界大戦末期についていくつか著作があるようですが、きちんとした歴史家・戦史家ではないようですね。