昨日の薔薇は

薔薇の名前については何日か前に書きましたが*1、仕事で必要な本を探して本棚をひっくり返していたら、イッケルト&シック(谷口勇訳)「「バラの名前」百科」(而立書房・1988年)などというのが出てきました。確か出てすぐ買ったので、もう15年以上経つわけです。ほとんど読んだ形跡がありません。この本は小説に関するもので、映画に関するものは別に出ていました。そっちは買ってないんですが。
アナール派的な「細部にこそ魂が宿る」みたいな感じの読解の手引きとして、哲学的また言語学・修辞学・記号論的な背景の解説として、非常に面白い本なのですが、そっち方面の素養のない私みたいな人間には一寸手に負えないところがあります。だがら「薔薇の名前」という題の必然性も結局理解できないわけで。
映画の方は比較的気楽に観ることができます。あれは原作から読取れる時代や場所の雰囲気をうまく生かしたサスペンスものとして非常によろしいのではないかと思います。表面(異端審問)と裏面(真の犯人探し)の二つがクライマックスの炎で融合して、しかもちゃんと善は(完全ではないにしろ)実現され、悪役であるベルナール・ギー(F.マリー・エイブラハム)及び真犯人は死んでくれます。尤も、善悪二分論という見方自体にそもそも問題があるのですが。
DVDは・・・・・・未だ買ってません。

*1:id:makinohashira:20041009#p1