クレンペラーもっともっと

 オットー・クレンペラーウィーンフィル・ライブBOXは一通り聴いたのですが、J. S. バッハのブランデンブルク協奏曲第1番はイマイチでした。
 クレンペラーのバッハは決してバロックではなくロマン派的な解釈ですが、安定したテンポと揺るぎない構築感により独特の世界を形成しています。フォン・カラヤンのバッハを嫌っていた皆川達夫先生も、クレンペラーの「マタイ受難曲」や「ロ短調ミサ」は評価されていましたっけ。私はマタイの方しか持っていませんが、ドストエフスキーの小説を読んでるような雰囲気(これも変な喩えですね)で圧倒されてしまいます。
 このBOXに入っているブランデンブルク協奏曲も悪くはありません。しかし、のっけからソロ楽器にミス連発でありゃりゃありゃりゃとズッコケてしまいます。ライブにミスは付き物とはいえ、一寸酷かぁないですか?んで、何か気分が盛り上がらないまま終わってしまいました。快活さではなく優美さを求めるべき演奏であって、確かに優美なのかもしれませんが、何だかねぇ、違うんですよ。浅くなってしまっているような気がして。
 ということで、あまり繰り返し聴く気にはならないかな。