クリュイタンスの英雄

 

Beethoven: 9 Symphonies

Beethoven: 9 Symphonies

 アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィルベートーヴェン交響曲全集
 昨日からこの中の交響曲第3番「英雄」をCDプレーヤーに入れっぱなしで聴いています。少々渇き気味の録音で、さらりとした肌触り。厳つさとは無縁の演奏です。月並みな言葉ですが「典雅」と言うのでしょうか。決して浅薄ではなく、軽やかな動きの中に「もののあはれ」みたいなのが感じられます。第2楽章の葬送曲もずどーんとした暗さの代わりに、木漏れ日の中の墓所に佇むといった風情。スケルツォとフィナーレの軽やかな躍動感もいい。
 厳しいベームとか熱いフルトヴェングラーもよいのですが、精神的に疲れているときはこういう演奏が心に沁みてきます。