遍歴5

 イタリアで思い出しました。万年筆遍歴メモが途中でした。


 父親から譲り受けたモンブランのマイスターシュテュック146と自分で購入したウォーターマンル・マン200の二本で*1幸せな万年筆ライフ(苦笑)を送っていた私。そんな私の中に、あることをキッカケに5年ほど前にささやかな万年筆ブームが到来しました。いわゆるマイブームですな。
 ウォーターマンのときは雑誌でしたが、今度は時代を反映して(笑)インターネットです。どこのサイトだったか忘れましたが、あるペンを見てしまったのです。そのペンはアウロラの「マーレ Mare」・・・名前のとおり、地中海やアドリア海を思わせる明るい華やかな青。ってその頃はアドリア海なんて実際には見たことなかったけど。まあ、それはいいとして(誤魔化す)、舶来もの(笑)の筆記具を豊富に扱っていた某デパート*2で取り寄せてもらって手にとったら、そりゃ美しいこと。ウォーターマンル・マン200/ラプソディ・ベルベットとは全く違う方向の美しさです。華やかで、でも穏やかで、軽薄ではない。絵葉書の中の海のような、囚われた美。キャップと尻軸との両端の黒、そして金に鍍金されたクリップやリングが、額縁というわけです。しかし全体的に太めで愛嬌があるので、囚われた妖しい美は健康的な印象の影に隠れる感じ。何を書いてるのか自分でもわからなくなりましたが、とにかくイイ!
 これのペン先はFなのですが、ル・マン200のEFと同じくらい細い字がくっきりと書けます。軸の特に持つときに手を添える部分はモンブランの146より太い感じで、146に馴染んだ私の手には若干違和感があります。が、バランスが良いのでしょう、書いていて疲れるといったことはありません。


 面白いですねえ、万年筆。
 これで目覚めてしまいました。美しさと書き味と物欲に。もちろんこの美と書き味への傾倒の源はウォーターマンにあったわけですし、更に言えば小学生の頃から万年筆に親しんでいた環境にあるわけですが。何でしょうか、修理以後のウォーターマンに対して溜まっていた何かが弾けてしまったというか・・・
 それと、この頃にはネットで情報を集めることができるようになっていたのが大きかったと思います。


 ということで2001年か2002年頃でしょうか、何本かの万年筆を立て続けに入手する、私にとっての狂乱期が訪れるのです。

*1:この頃にはパーカーは引退状態になっていました。

*2:このとき何で丸善じゃなかったのかは覚えていないっす。たぶんそのデパートのカードで割引がきいたからだと思います。