フィレンツェの風 後編

 長く留守にしていたしわ寄せで通常業務が滞って、昨日も今日もお仕事。さすがに少し疲れました。


 さて、一昨日書いたブリーフケース、「フィオレンティーナ Fiorentina」という銘のもので、お店の人によると日本の職人さんがイタリアの皮革を使って作ってるんだそうです。なので日本製。残念ながらウェブ上には情報がありません。革の質は良さそうですし、400x290にマチが80mm程度と大きさも程よく、形も(オーソドクスとは言えないものの)シンプルで*1、手にもよく馴染む。力のかかる箇所はちゃんと縫いが二重になっていたり、丁寧に造ってあるようです。長持ちしそうかな。
 が、買ってきてから気づいたのですが、縁のパイピングというんでしょうか何と言うんでしょうか、その目立たないところで縫い目がのたくったりしてやがる。手造りの味?と考えればよいのでしょうが、一寸気になるところではあります。う〜ん、見落としたか。
 ともあれ、前述の1〜5の条件は満たしていて、その点は満足です。それに名前が「フィオレンティーナ」ですから。花の都フィレンツェ
 20060911追記:このブリーフケース、家族から「オッサン鞄」と命名されました。まあ確かに、フィオレンティーナってわりには華には欠けますわな。でも、人には似合う似合わないってのがあるわけで、私には華やかなのを使いこなす力はありませんです。それに、これ、わたくし的には非常に使いやすくて良い鞄です。中には余計な仕掛けがなくてスッキリしている点がまずGooooood!(笑)それから外のポケットがパンツのポケットのようについているんですが、左右の深さ(いや、奥行きと表現すべきか)が違うという芸の細かさ。専ら浅い方に財布などを入れております。(追記ここまで)


 これを買う際には同じ銀盛堂さんで扱っているイタリア製の「The Bridge」のブリーフケースと比べて悩みに悩みました。造りは「The Bridge」の方が良さそうですし、何といってもこの「The Bridge」ブランドには思い出があるのです。


 今を去ることウン年前、相方との新婚旅行はイタリアでした。
 学生時代までは「ドイツの科学は世界一ィィィ!」な感じだった私は、就職してすぐの頃に仕事でたった一日滞在したフィレンツェに心を奪われて(かつ美味しいイタリア料理に胃袋を奪われて)、すっかりイタリア萌え人間になってしまっていたのでした。新婚旅行も相方などそっちのけで「イタリア!フィレンツェ!」と勝手に心に決めていた私。巧みな話術で誘導し、相方の希望でそうなったかのようにしてイタリア行き決定。
 でフィレンツェですよ、フィレンツェ。素晴らしくて相方も大満足です。ラブラブです。何か記念になるものを買おうなんていう、我が家にしては景気のよい話にもなります。が、ポンテ・ベッキオの金細工屋の指輪なんて高くて買えません。絵葉書だけで我慢するか、といきなりトーンダウンする私たち。フラフラとさ迷い歩くうちに、確かシニョーリア広場の西南の方だったと思うのですが、ブティックのような鞄屋さんのようなお店に何故か吸い込まれたのでした。そういえば相方が財布を欲しがってたっけ、ということで店員の女性(メガネの似合う知的な美しさをもった女性でした)に希望を伝えて幾つか品物を見せてもらいました。そこで買ったのが「The Bridge」の財布。他にない独特の雰囲気のあるお財布。ささやかながらこれが記念品になりました。


 ・・・という恥ずかしい過去もあって銀盛堂さんで「The Bridge」を発見して(日本では見かけなかったのでまさに「発見」です)大いに惹かれました。*2。しかしながら、造形が(今回の私のイメージからすれば)ややカッチリし過ぎていたこと、最も気に入った形のものには外ポケットがついていなかったこと、ロゴが(小さいものの)表に金文字で入っていること、これらがマイナス要素になって軍配は「Fiorentina」に。小物類はロゴが型押しだけでさほど目立たないのですが、鞄は金文字・・・(涙)・・・使ってる内に消えるのかもしれないけど・・・(涙)


 「Fiorentina」も(日本製だけど)フィレンツェだからイイさ、と変な納得をしての今回のお買い物でありました。
 フィオレンティーナの話よりザ・ブリッジの話のほうが長くなっちまった。



これはお財布の型押しロゴ

*1:ある種の考え方によると、ジッパーという比較的新しいテクノロジー(笑)を使ってある時点で「オーソドクス」(あるいは「オーセンティック」)とは言えなくなるとか。と考えるとベルクロもアウトですね。ちなみに、YKKさんのホームページによると、ジッパーが一般化したのは20世紀の初め頃かららしいです。http://www.ykkfastening.com/japan/products/a001/info012.html

*2:後で「The Bridge」のサイト http://www.thebridge.it/ で見てみたら、日本(国別表記が英語ヴァージョンから見ていっても Giappone となっているので一寸判りにくいですが)でのディーラーは銀盛堂さんだけみたいですね。というか、ウン年前にフィレンツェで買った際は「ブランド」なんて認識してなかったんですが、立派なサイトと豊富なラインナップを見ると結構なものです。