スキナーのルール

 

スキナーのルール (創元推理文庫)

スキナーのルール (創元推理文庫)

 ブックオフで100円だったので、買ってみました。エジンバラを舞台にした警察小説。「スキナー」シリーズの第1作だそうです。他を読んだわけではないですが、この本は警察小説というよりスパイ小説かな。であるとすれば、国際関係の捉え方が粗いのが気になります。警察内部の組織の描写とか、仲間意識とか、警察小説に付き物の要素は揃っているのに、解き明かされていく事件の背景があまりにあんまりなので、リアリティーが欠けてしまっている気がします。結末も能天気すぎて深みがありません。
 そうそう、前半部分で日系企業の工場長と日本大使が出てきますが、その名前の凄いこと。みんな中国人のような名前です。工場長の方はサムライの家系で副領事を兼ねていて、大使は王族の出で精神科医でもあるという、無茶苦茶な設定も凄すぎます。30年くらい前の西洋人の日本に対する見方をそのまま引きずっている感じ。というか単にリサーチが不足してます。我々の外国に対する認識も褒められたもんじゃないですが、ここまで酷くはないですよね。
 つまらなくはなかったものの、シリーズの他の作品も読んでみようか、という気にはなりませんでした。