長い道のりの果てに

 エピローグ
 財布を買っただけでお金が無くなったわけではありません。「The Bridge」の製品はそんなに馬鹿高いものではありませんから。じゃあ何故?


 銀盛堂さんから数十メートル歩けば銀座タニザワさんがあることは、以前も書いたとおりです*1。財布を買って目的を遂げた私が、歩道を北に歩く必要はなかったんです。でもフラフラと。財布購入に思ったほどお金がかからず、懐が比較的暖かかったせいかもしれません。銀盛堂さんで鞄を撫で回すうちにどこかの回路がショートしたのかもしれません。
 タニザワさんに入って店員さんと話すうちに、ブリーフケースをというようなことになり・・・蝋引きの黒い鞄が・・・。タニザワさんというとトップフレームタイプの鞄(いわゆるダレスバッグ)が有名なようですが、私の目にとまったのはダレスバッグのようなコロッとした外観で、開口部が口金式ではなくジッパーになっている鞄です。マチは広めで仕切りなし。分厚い本や書類の束を入れやすいでしょう。タニザワさんのオリジナルだそうです。
 でも、黒鞄は親父様のお下がりが手に入る予定です。茶のブリーフケースは8月に買いましたが、これはマチが細く荷物が少ない時用です。予期せず見つけてしまった非常に魅力的な黒鞄。同じタイプで茶系のものはないか尋ねると、似たようなシリーズで濃茶のものを出しているメーカーさんに問い合わせてくれて、2月頃までに製作・入荷しそうだとのこと。2月か。迷うところです。すぐに必要というものではないので、この濃茶のものを予約して宿に帰りました。


 これで一件落着・・・というわけではなく、宿に帰ってから散々悩みました。あの大きさ・収容力・形はかねてから思い描いていた理想の鞄に極めて近い。しかもダレスバッグではなく一寸ひねってある*2。茶を予約したけど、店頭にあった黒の方が出番は多いのではなかろうか。親父様のお下がりに期待するのでなく、自らの手で道を切り開くというのが大人というものではなかろうか。等々。まあ、物欲を正当化してるだけなんですが。
 結局、帰りの新幹線に乗る直前に時間をつくって銀座に行き、茶の方の予約をキャンセルして黒を買ってきました。


 新幹線の中で「家人に何て説明しようか」と思い悩んだのは言うまでもありません。
 しかしまあ、今年の買い納めということで。はぁぁぁ(溜息)


 わりと堅い鞄ですが、使っているうちに馴染む感じになるのか、その前に型崩れが酷くなるのか、どちらでしょうか。


 20070113追記:タニザワさんの黒鞄と同型の濃茶のものは、(株)青木さんというメーカーのもののようです。出張ついでに立ち寄った神戸の鞄屋さんで見かけました。ちなみに使い勝手ですが、ぼちぼちです。B4の裸の書類は入りますが、B4ファイルまでは入りません(これは店頭でも確認してから買いました)。A4ファイルは余裕。マチは内寸で105mmほど。当初の想定よりもマチが小さく物が入らないかも。でも、これ持ってアレン・エドモンズの黒のストレートチップ履いて歩くと、背筋が伸びる感じがします。って結局気分の問題かよっ!

*1:id:makinohashira:20060901#p2

*2:20070113追記:トップフレーム・口金式の方がジッパーよりもクラシックかつオーセンティックだとは思うんですが、一寸主張が強すぎる印象なんですよね、私にとっては。