最後から二番目の真実

 

最後から二番目の真実 (創元SF文庫)

最後から二番目の真実 (創元SF文庫)

 P.K.ディックの「最後から二番目の真実」
 町の図書館で借りて読んでみました。何となく題名に惹かれて。原書は1964年刊行で、日本では1984年に最初の翻訳が出ているそうです。この創元SF文庫の新訳は2007年。


 地上では10年以上も続く核戦争。人々は地下に逃れ、「地下塔」を建設して住んでいる。地上での戦闘用ロボット「人造要員(レッディ)」製造のノルマを課されながら。・・・「宇宙戦艦ヤマト」のガミラス星を頭に浮かべてしまうのは私だけでしょうか。もちろん話はガミラス星の話じゃありません。地下塔の1つトム・ミックス塔で要員製造に欠かせない技師の爺さんが膵臓ガンで死んでしまい、塔の塔長ニコラス・セントジェームズが人工膵臓を求めて地上に赴く。すると、地下に伝えられているのと異なり、戦争はとうの昔に終結し、世界中の土地を少数の支配層すなわち「地下管理局」の補佐官達が分割して、人造要員にかしずかれながら暮らしている。地下に伝えられる情報はこの地下管理局が捏造したものであり、戦闘用とされていた要員達は実は従僕として使われていたのだ。驚愕の真実。他方で地下管理局の中ではある陰謀が進行していて・・・。


 面白い本ではあるのですが、最後にもう一ひねりしてほしいなと物足りなさが感じられたり、物語が進むにつれて上述のニコラスの存在がぼやけていってしまったり、代わって物語の中心になる補佐官の一人ランターノが結局何者なのか今ひとつ理解できなかったり、一寸残念。