004ハイドン第94番

 ようやく復活気味。でも、音が低く聞こえるのは治らず。このままになっちゃったらどうしよう。絶対音感があるわけじゃないからじきに慣れるのか。


 さて、諸井誠『交響曲名曲名盤100』を手がかりに交響曲を聴こう。1週遅れです。最近これしか書いてない気がしますが。これとていつまで続けられることやら。
 4回目はハイドン交響曲第94番。ニックネーム、のんびりおっとりした第2楽章でいきなりティンパニ金管がワッと驚かすので、「驚愕 Surprise」又は「ティンパニどかん mit dem Paukenschlag」という、クラシックファンには有名なもの。しかしナンですな、我々はこうしてネタバレ状態で聴くわけですが、何の予備知識もなく初演で接した人は、そりゃ驚いたんでしょうな。何が「驚愕」なのか知ってしまっている我々は不幸です。
 「あなたが『さまよえるオランダ人』であることは、会場に来る誰もが知っているのですよ。」でおなじみ(?)*1の皮肉屋オットー・クレンペラー氏など、「皆知っているのに今更何を驚くというんだね?」と言いそうですが、彼はこの「驚愕」を録音しなかったのかしら?
 『名曲名盤100』でも、イチオシとされているのは、フツーの驚愕の他にイレギュラーな驚愕を入れ込んだオイゲン・ヨッフムロンドン・フィルの録音だったりします。でも、その箇所を具体的に書いちゃったら、またもやネタバレじゃないっすか、諸井先生。
 ヨッフム(DG)以下挙げられている演奏は、セル/クリーブランドCBS)、マリナー/アカデミー室内O(Philips)、バーンスタイン/ニューヨークPO(CBS)、ギュンター・ヘルビッヒ/ドレスデンPO(Deutsche Schallplatten)、ドラティ/フィルハーモニア・フンガリカ(Decca)、カール・リヒターベルリン・フィル(DG)、モントゥー/ウィーン・フィル(Decca)。フォン・カラヤンなんかも聴いてみたいですね。ベルリン・フィルとの録音は1980年代に入ってからだから、1979年発行の『名曲名盤100』のリストには当然入りませんが。「今」の指揮者だとクラウディオ・アバドやサー・サイモン・ラトルのCDがないのが残念。
 手持ちのリストは以下の3点。

  1. ヨッフムロンドン・フィル(DG・1972年録音):5枚組のロンドン交響曲群+α
  2. ホグウッド/エンシェント室内管(オワゾリール・1984年録音):第100番・第104番とカップリング
  3. ブリュッヘン/18世紀O(Philips・1995年録音):13枚組のセット
  4. バリー・ワーズワース/カペラ・イストロポリターナ(Naxos?詳細不明):オイレンブルクの「AUDIO+SCORE」を買ったら付いてきた


 穏健なホグウッドに馴染んできた私の耳には、比較的最近聴き始めたヨッフム盤はむしろ新鮮です。ヨッフムは、全体的に角張っていて、う〜ん、木製の升の中で木製の小さい立方体をコロコロ転がすような、何となく不思議な印象を受けます。乾き気味の録音のせいもあるのかな。表現意欲という点では力が入っているな、という感じ。第2楽章の各変奏の描き分けとか、特に第3楽章の細部まで気を配ったであろうフレージングとか。それが「おお、やっとるね」という形で聴き手に感じ取れてしまいかねないのは、もしかするとマイナスかもしれません。でも、決してビックリだけの曲じゃないんだということは良く伝わってきます。

London Symphonies

London Symphonies

*1:チャンバイ/ホラント編(山本宏訳)『名作オペラブックス18 さまよえるオランダ人』(音楽之友社・1988年)で紹介されているエピソード。オペラのタイトルロールの名乗りなんて、ネタバレ以前の問題だけどね。