メイジー

 本屋さんに行って洋書ペーパーバックのバーゲンコーナーを眺めてたら、落ち着いた装丁のものが一冊目につきました。内容紹介を読むと推理小説みたいだし、1,782円が700円とお得だわ(我ながら浅ましいなあ)。ということで買ってきました。Jacqueline Winspear(ジャクリーン・ウィンスピア)"Birds of a Feather"

Birds of a Feather (Maisie Dobbs Mysteries)

Birds of a Feather (Maisie Dobbs Mysteries)

 ↑私が買った版の表紙は焦げ茶にセピアの写真(自動車に乗った女性の後ろ姿)


 時は1930年。探偵メイジー・ダブズは食料品チェーン経営者のジョセフ・ウェイトから家出した娘シャルロッテ・ウェイトの捜索を依頼される。アシスタントのビリーと捜索を開始すると、シャルロッテの友人が殺害され、更にかつての仲良しグループ4人の残りの2人も或いは殺害され或いは自殺していたことがわかる。シャルロッテは何処に?彼女は犯人なのか、次の犠牲者なのか?そして動機は?・・・という謎解きに、メイジーと父フランキーとの微妙な関係の行方や、ビリーが戦傷の苦痛を紛らわすために麻薬に手を染めているのではないかという疑惑、メイジーに好意を寄せる男達との何とも言えないやりとりを絡めて、物語は淡々と進んでいきます。プロットは複雑ではないので、動機に関係する歴史的背景を知らなくても、犯人が誰かを推測することは難しくありません。ということで、単純に謎解きという視点からは、それほど優れた本とは思えません。警察の描き方が紋切り型のような気がしますし、無駄な描写が多いし。でも、その無駄な描写も含めて、戦争(第一次世界大戦)に由来する隠された背景をもって様々な人物が織りなす物語として読めば、興味深い本だと言えるでしょう。
 題名の"Birds of a Feather"は「類は友を呼ぶ」といった意味の慣用句だと思いますが、これは、被害者達の繋がり、犯罪の動機に関係するある背景、そして第一次世界大戦での傷を負いながら生きてゆく登場人物達、そうしたことを多層的に暗示する優れた題名です。


 読み終えてからamazonあたりでちょっくら見てみると、2003年に"Maisie Dobbs"(邦訳「夜明けのメイジー」)でデビューして、2005年の"Birds of a Feather"がどうやら2作目みたいです。その後も女探偵メイジーのシリーズは順調に出続けているみたい。それにしても、1作目を読んでなかったせいか、途中まで「モーリスって誰よ?」って感じでメイジーとビリーの現在に至る歴史がよく分からず戸惑いました。レディ・ローワンとかデイム・コンスタンツェとか、注意深く読まないと関係が把握できんやん。まあ、乏しい英語力では口語表現を十分に理解できない、ってのも大きかったんですけどね。
 何はともあれ、教訓:シリーズものは1作目から読みましょう。


 文庫で翻訳出てるから、ブックオフの100円コーナーに転がってないか明日見てみよう(浅ましすぎるよ)。