バイロイトのマイスタージンガー2008

 NHK-FMで放送していたこの夏のバイロイトの録音を聴きました。久々だなぁ。
 ヴァイグレ指揮の楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」です。第3幕が終わった途端に野太い声のブーイングが。演出の解説をしてくれるので、ブーイングの理由は判りましたが、何ともはや。
 音だけ聴く限りでは、ザックス役のフランツ・ハヴラタが、何というか「薔薇の騎士」のオックス男爵役向きの嫌らしさを伴った声にしか聞こえなかったり。しかも勝手気ままな歌い回しがイラッときます。舞台を観ると別なのかもしれませんが。
 ヴァルター役のクラウス・フロリアン・フォークトはヘルデンとかリリコ・スピントとか言うのとは対極にある、軽やかな声と歌いぶりで、私は嫌いではありません。フリッツ・ヴンダーリヒペーター・シュライアーを足して何かを引いて2で割った、みたいな(自分でも訳がわかりませんけど)。一昔前ならヴァルターじゃなくてダーヴィット役かもしれません。
 全体としては大きな破綻はないものの、第3幕など少々間延びした感じが無きにしもあらず。叙情的な場面がねぇ・・・テンポが落ちるだけで呼吸が深くならないんですね。解説の人は第2幕のアッサリ感を疑問視してましたが、私は逆に第2幕はあんな感じで良いのではないかと思います。第2幕のアッサリとしたやりとりの中に溜まっていく情念が第3幕を形作るはずでしょうから。