009モーツァルト第25番

　諸井誠『交響曲名曲名盤100』を手がかりに交響曲を聴こう。
　ハイドンの次はモーツァルトから8曲。最初は第25番KV183、小ト短調です。映画「アマデウス」のオープニング・タイトルのところで用いられていたのが印象的でした。私もアレで認識したクチでして。
　1773年の作品ということは、ハイドンの第45番「告別」とほぼ同じ頃。モーツァルトはこのとき17歳だそうです。後年の作品に比べたらシンプルですが、私は例えば大ト短調＝第40番よりもこの小ト短調の方が好きだったりします。大ト短調の方は一寸大げさ過ぎるような気がして。
　シンコペーションが利いた第1楽章第1主題の印象は強烈。展開部が僅かしかないのも気になりません。第4楽章では第3楽章と関連する主題が用いられ、さらにシンコペーションも現れて、4つの楽章の有機的な結びつきがごく自然な形で頭に入ってきます。

　この曲の演奏で有名なのは、ブルーノ・ワルター／ウィーン・フィルの1956年ライブ。『名曲名盤100』でも「この浪漫的演奏には賛否両論あろうが、ともかく断然個性的なのだ。」と紹介されています。ただ、この本はステレオ盤が基本なので、推薦リストに挙げられているのはムーティ／ニュー・フィルハーモニアを筆頭にケルテスやクレンペラーなど。
　私もワルター盤は持ってい・・・たはずなんですが、久々に聴こうと思って探したら見つかりません（涙）。他にも何枚か行方不明のCDが。中古屋に売った覚えもないし、押し入れの段ボールのどれかに紛れ込んでいるのかも。

　ということで、手持ちのものは5枚。

1. カール・ベーム／ベルリン・フィル（DG・1968年録音）：1987年発売の3枚組
2. ベンジャミン・ブリテン／イギリス室内管弦楽団（Decca・1971年録音）：第29番、シューベルト第7番（未完成）とのカップリング
3. イシュトヴァン・ケルテス／ウィーン・フィル（Decca・1972年録音）：第29番、第35番とのカップリング
4. カール・ベーム／ウィーン・フィル（DG・1978年録音）：DVD3枚組
5. ハンス・グラーフ／ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団（Capriccio・1989年録音）：13枚組の全集

ピリオド系のものが無かったりします。ホグウッドの全集を聴いてみたいなぁ。大好きな指揮者カール・ベームの全集も持っていません。だって１として挙げた3枚組だとか、その後OIBPリマスターで出た（25番・31番を含まない）2枚組を買っちゃってるから、更に全集というのも何か納得いかなくて。3,000円で手に入る５のハンス・グラーフに逃げました。ちなみにこのグラーフ氏、日本にもオケや吹奏楽を振りに来てますが、カール・ベーム指揮者コンクール1979年の1等賞だそうです。

　ケルテス盤は遅めのテンポなもののバランスがとれていて、弦や木管の柔らかな音色と表情がとても良いのです。フレッシュな頃の滝沢秀明のイメージ。が、録音のせいかこのＣＤがおかしいのか、出だしが崩れているのが気になります。
　ベーム／ベルリン・フィルはケルテスよりさらに重く感じます。何だかマサ斎藤みたい（？）。それはそれで充実していてとても良いのですが。
　ということで、マイ・ベスト（といっても5種類の演奏の中からですが）は、作曲家ベンジャミン・ブリテンが指揮するモーツァルト。ブリテンがサー・クリフォード・カーゾンと録音したピアノ協奏曲第27番と第20番は、品の良い軽やかさの中に寂しい表情が漂っている、宝物のような演奏です。この交響曲第25番は、爽やかな甘みのある、綾瀬はるかの微笑のような（？）、芯はあるけど優しい演奏です。弦の刻みが少々鬱陶しいと思うむきもあるやもしれませんが。

　交響曲の方は画像がでなくてつまらないので、ピアノ協奏曲の方を載せてみたり。
　実は同じ演奏を3枚も持っていたりします。
　最初は国内版。次が輸入盤のこれ。

Mozart: Piano Concertos 20 &27

　で、さらに新リマスタリングのこれ。

Piano Concertos 20 23 24 26 27: Decca Legends

　少し前までは「リマスタリング商法」とか「新素材商法」にまんまとのせられいた私です。最近だとユニバーサル・グループが「SHM-CD」というのを推してるらしいですね。全国紙に広告まで出す力の入れよう。でも、何だかもうそういうのを追いかけるのは疲れてしまいました。と言いつつ、これまで持っていなかったポリーニのショパンなどを試しに買ってみたりしましたが。既に持ってるCDを買いなおそうという気力も財力もありません。